タクシー値引き交渉

学生のころ山登りに明け暮れていました。夏休みや冬休みには長期の縦走に出掛けました。みんな貧乏学生です。山に行くときはいつも公共の交通機関です。JRやバスを乗り継いで道内各地の山に出掛けました。

しかし大抵山は田舎の方にあります。交通の便もあまりよくありません。バスも朝と夕方の2本だけだったりします。どうしてもタクシーを使わないとならないこともあります。しかしタクシーに乗るのも田舎では大変です。JRの駅から乗るしかありません。

そうすると距離もかなりの距離で当然料金も高額になります。うっかりすると1万円を超えてしまいます。4人で割っても2500円以上もします。学生には痛い出費です。そこで運転手さんと交渉します。

「○○まで行きたいんですけどいくらくらいでしょうか?」
「15,000円くらいかなぁ」
「えぇ~っ!!!!そんなにぃ!!!!」
「大体だけどそれくらいはかかるね。」
「じゃぁ××までバスかヒッチハイクで行きますから○○時にそこで待っててもらえませんか?」
「あぁ???」
「だってそんなにお金ないんですもん。」
「しょうがねぇなぁ…安くしとくから…」
「いくらですか?」
「12,000円で行っちゃるよ」
「それでも××から乗った方が安くないっすか?」

というような会話を続けて結局1万円で行ってもらうことに。それだけおまけしてもらった私たちはお客さん気分ではありません。運転手さんをいい気分にさせようと、楽しませようと一生懸命お話します。目的地に付くころには大抵とても仲良しになっていました。

「気をつけて登ってこいよぉ…」
「運転手さんも気をつけて…ありがとうございました…」

と言ってとても気持ちよく別れます。

山から下山すると帰りはほぼ100パーセントヒッチハイクです。でもやはり田舎です。場合によってはそこがその道路の一番奥であったりします。そうするとそこに車がいないヒッチハイクできません。ひなびた温泉宿がぽつんとあるだけだったりします。

帰りは別に急いでいません。お金はなくとも時間だけはたっぷりある学生です。タクシーを呼んだりはしません。バスに乗るお金ももったいないのです。20キロ先の国道を目指して歩いたりしたこともあります。

でも大抵数キロ歩いたところで車が1台くらいはきます。ヒッチハイクの合図をしなくても止まってくれます。

「どこまでいくのぉ」
「取り敢えず国道まで出てそっからヒッチハイクします。」
「したら国道まで乗ってけや…」

皆さんとても親切です。私の友人はそういう状況でタクシーに乗せてもらったことがあります。奥の温泉宿までお客さんを送ってその帰り道だったそうです。もちろん無料で乗せてもらったということです。

私の通っていた学校は山登りのクラブが多く、みんなそうして山に行っていました。卒業後官僚や役人になったやつもいます。学生時代一生懸命節約しながら山に登っていた連中はきっと居酒屋タクシーとは無縁でしょう。

学生時代いろんな人にお世話になった経験をした人は大抵大人になったらいろんな人のお世話をしたくなるものです。今、私がヒッチハイクをしている人を見かけたら大抵乗せてあげるように。

居酒屋タクシーを利用されている方はきっとまだ学生気分なのでしょう。でも私たちが学生のときは運転手さんにものすごく感謝し、お金ではその感謝を表せないから車内をとても楽しくしようと考えました。でも居酒屋タクシーを利用されている方は違うようです。

「ビールないの?」

と、聞くそうです。しかもタダ酒を要求しているんです。貧乏臭っ!!
こんなに醜いことをする人が我が国のトップの組織にいること自体情けないし恥ずかしい。子供に何と説明したらよいのか…

ちょっと頭の回転の早い子供なら思うだろう。

「道徳の時間でも作ったら…」

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